スペイン語力アップ!ブログ

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外国語学習ノウハウ本 コレだけ厳選3冊

教材・書籍 | 2013-02-07

スパニッシュ・オンラインの大塚です。
今年の抱負に外国語習得を挙げていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
すでに1年の10分の1が経過してしまいましたが、調子はいかがですか?(^^)
 

さて、外国語の学習にも当然、コツがあります。
なにごとでもそうですが、無駄な努力をせず、効率的な方法を選ぶのは大切ですね。

salamanca

私は仕事柄、わりと外国語学習法関連の本を読むのですが、昨年は以下の11冊を読みました。


外国語学習法がテーマの本
 『よりよい外国語学習法を求めて』(竹内 理、松柏社)
 『わたしの外国語学習法』(ロンブー・カトー、ちくま学芸文庫)
 『外国語学習の科学』(白井恭弘、岩波新書)
 『外国語上達法』(千野栄一、岩波新書)
 『マルチリンガルの外国語学習法』(石井啓一郎、扶桑社新書)

記憶がテーマの本
 『海馬 脳は疲れない』(池谷裕二・糸井重里、新潮文庫)
 『記憶の整理術』(榎本博明、PHP新書)
 『なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか』(ダニエル・L・シャクター、日経ビジネス人文庫)
 『記憶と脳』(久保田競 編、サイエンス社)
 『脳を活かす勉強法』(茂木健一郎、PHP文庫)
 『ビックリするほどよくわかる記憶のふしぎ』(榎本博明、ソフトバンククリエイティブ)
 

これらのうち、2冊を除いてはどれもこれも読む価値のある本なのですが、その中からお忙しいみなさんにもぜひ読んでいただきたい厳選3冊をご紹介します。

 

『よりよい外国語学習法を求めて』

世の中には無数の「私はこうして○○語をマスターした!」式の書籍があります。
しかしながら、これらの多くは著者ひとりの経験をもとにしたものであり、読者が同じ方法で外国語学習を効率的に進められるかというと疑問です。
著者の思い込みや性格、能力、生活環境に依存した方法である可能性がありますので。

著者の竹内教授は各種の学習法のなかから普遍的な法則を見つけ出すべく、10年以上の歳月を費やして
 ・海外の専門家たちによる先行研究の丹念な調査
 ・日本の「私はこうして・・・」式書籍の収集と調査
 ・日本人の英語学習成功者の調査
を行ったそうです。
本書ではそれら調査から、日本人の外国語学習成功者に共通に見られる方略(学習方法や行動)を見つけ出し、学習者のレベル(本書では初期・中期・後期と、「時期」で分類されています)別に計31項目にまとめられています。

一例をあげると、リスニング能力に関しては、
 ・細部にいたるまで「深く」、「細かく」聞く(学習初期から中期)

 ・意味内容・情報に着目して「広く」聞く(中期以降)
ことが挙げられています。(もちろん本書では、それらが語学習得にどのように役立ったのかも説明されています)

これら31項目はいずれもどこかで聞いたことがあるでしょうし、いくつかはみなさんがすでに取り組まれているかもしれません。
しかし、本書ではそれらを体系的に整理して提示されているので、自分の勉強方法の抜けや漏れを見つけ、チェックリスト的に活用することができます。

たとえば私自身に関して言えば「スペイン語と接触する機会をできるだけ増やす 」ことは昔からとても熱心なのですが(笑)、「 基本文例・表現を大量に、徹底的に暗記する  」という学習初期〜中期にかけてなすべき勉強をほとんどやっていませんでした。
そこで昨夏、例文暗記に取り組んだところ、ぐっと単語数も表現力も増やすことができました。

学習計画のなかにこの本に書かれている項目を織り込むことで、効率よく、かつ、聞く・話す・読む・書くの4技能をバランスよく、効率的に上達できるようになるはずです。

この本で唯一の難点は、(おそらく)この本自体は著者の研究成果の発表に主眼が置かれていて、「外国語学習者が手っ取り早くノウハウを知る」ような体裁になっていないことです。(結果としてページ数が膨らみ、価格も高く設定されてしまっています)
たとえば「31項目」と前述しましたが、これらが一覧になっているわけではありません。
私はこれをひとつひとつ拾い出して整理し、Excelの表にして利用しております。^^;
ターゲットを一般の学習者に絞って分かりやすい語り口で書きなおし、新書にして出版すればもっと多くの外国語学習者の助けになるのに、と残念に思います。

 

『ビックリするほどよくわかる記憶のふしぎ』

外国語学習において「記憶」が大切なのは言うまでもないでしょう。
一定数の単語と、基本的な文法を覚えることなくして外国語ができるようにはなりません。
この本は、記憶のメカニズムを分かりやすい語り口と豊富な漫画で解説するとともに、より効率的に記憶するための方法を網羅してあります。

外国語学習に役立てるという意味では、
 第2章 記憶のメカニズム
 第4章 記憶力を高める方法
の計76ページだけば読めばいいので、すぐに読み終えられると思います。

記憶力を高める方法については、「手で書く」「語呂合わせ」など、すでに広く知られている方法もありますが、「(刺激的な)感情と結びつける」といった、あまり知られていない?テクニックも説明されています。

いつまでたっても覚えられない単語があったときに、本書で提示されている方法のどれかを使って暗記してみてはいかがでしょうか。

 

『海馬 脳は疲れない』

「年をとるにつれて記憶力が悪くなっていく」となんとなく思い込んでいませんか?
この本を読むとそのような迷信(私もそう信じていました)に惑わされることなく、むしろ加齢によって頭がよくなるのだということがよく分かり、まずは「自分は記憶できる」という自信を持つことができます。

『海馬 脳は疲れない』(池谷裕二、糸井重里著。新潮文庫)では、記憶を司る脳の部位「海馬」の機能についてわかりやすく対話形式で解説されています。

海馬は一言で言うと「記憶の製造工場」のようなところで、入ってきた大量の情報(見たもの、聞いたもの、体験したものetc)を、「生存に」必要か不要かに分類し、必要なものだけを脳の他の場所に収納(=記憶)する役割をもっています。
逆に言うと、ほうっておくと大事なこと以外は覚えてくれません(笑)。

また、海馬の隣には感情を司る「扁桃体」という部位があり、扁桃体を活性化させると海馬も活性化するのだそうです。(上述『ビックリするほどよくわかる記憶のふしぎ』では同じことが第7章に「感情と結びつける」として紹介されています)

つまり、本来はさして重要でない(笑)外国語の単語のようなものでも、
 ・それがさも生死に関わる重要なことがらであると海馬に勘違いさせる
 ・強い感情(生死に関わることなら尚よい)で扁桃体を刺激しつつ記憶する
ことによって覚えやすくできるわけです。

ちょっと面倒ですし、バカバカしく思えるかもしれませんが、実際にやってみるとその威力が分かると思います。ぜひ試してみてください。

いかがでしょうか。
時間のない方もこの3冊(の必要なところ)だけでも読んでみてはいかがですか。
きっとスペイン語学習の効率がアップしますよ。