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【スペイン語文法】現在完了と点過去、どっちを使う?

その他 | 2012-07-10

こんにちは。

スパニッシュ・オンラインお客様係の大塚です。

さて、現在完了と点過去の使い分けについて、複数の生徒様からご質問をいただいたので調べてみました。

 

基本的な用法に関しては割愛します。お手持ちの文法書をお読みください。m(_ _)m

さて、往々にして現在完了/点過去の使い分けが議論になるのは、hoy、esta semana、este mes、este año等といっしょに使われる場合ですね。

様々な本やサイトでどのように解説されているのかを見て行きましょう。

『文法から学べるスペイン語』

当社のオンラインレッスンでも生徒様からご好評をいただいているスペイン語教本のベストセラー『文法から学べるスペイン語』。

本書では

「まだ過去になっていない期間のできごと(hoy「今日」、esta semana「今週」、este mes「今月」、este año「今年」)などといっしょに使う)は、現在完了を使う」

と説明され、例文として

Hemos trabajado mucho hoy.

が示されています。
※本書はスペインのスペイン語をベースに解説されています。

 

京都外大講師のPepelú氏

京都外国語大学でスペイン語講師を務めるPepelú氏(スペイン人)は彼のYouTubeで、やはりhoy、esta semana、este mes、este añoを使うときは現在完了を使うと解説しています。

掲示板
一方で、スペイン語講師が集まるとある掲示板では、

・スペインでは明確に分けて使うが、ラテンアメリカ諸国では点過去しか使わない

・スペインでは「当日に終わったできごと」を現在完了で表すのに対し、ラテンアメリカでは点過去を使う
・スペインでもガリシアでは点過去を多く使う
・スペインのアストゥリアス州では現在完了を全く使わないけど、それは間違いだ

etc.といった議論(投稿)を見かけました。

どうもスペインか中南米かだけでなく、スペインの国内ですら地域差があるようです。

 

 

スパニッシュ・オンラインの講師
スパニッシュ・オンラインの講師数名(グアテマラ人)に聞いてみたところ、いずれも、

・hoyでもesta semanaでも、まだその行為が継続しているのであれば現在完了。すでに
 過去の話であれば点過去。

・それにより、No he desayunado hoy. でも No desayuné hoy.でもよい。

とのことでした。
英語の現在完了と過去形の使い分けに近い考え方ですね。

うーむ。悩ましい。。

 

 

東京大学上田先生
接続法等、分かりにくい概念を調べるときにいつも頼りにしているのが東京大学・上田教授のスペイン語ガイドブック

さて、上田先生のご見解は。。
http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~cueda/gakusyu/guia/dousi/zyo-kan-sin.pdf (リンク先はPDFです)
P.11の最下行から始まるQ&Aの回答にあるとおり、

現在完了は過去の出来事が現在にどう関わっているのか、現在の時点でそれがどのような結果になっているのかを示します。

と、これまた英語の現在完了に近いニュアンス。

この解釈だと、hoyでも現時点での結果を示すのであれば現在完了、現在とは関係のない過去のことを示すのであれば点過去でよさそうですね。

説明の仕方は異なりますが、結果としてスパニッシュ・オンラインの先生たちと同じ使い分けになりそうです。

ちなみに上田先生はスペインの大学への留学経験をお持ちの一方、中南米のスペイン語に関する論文も書いておられ、また現在は中南米科に所属しておられます。

 

 

 

Wikipedia
では、Wikipediaではどうでしょう?
http://es.wikipedia.org/wiki/Pret%C3%A9rito_perfecto_simple

(1a) No he desayunado
(1b) No desayuné
En español de España (1a) sólo puede referirse al día de hoy y (1b) a un día anterior. En cambio en español de América ambas pueden referirse al día de hoy, significando adicionalmente (1a) que todavía "me es posible desayunar" y (1b) que, probablemente por la hora, "ya no me es posible desayunar".

つまり、スペインでは(1a)は今日に関してのみに使い、(1b)は(今日ではなく)昨日以前にのみ使う。
ラテンアメリカでは両方とも今日のできごとに使うことができ、(1a)は現時点でも朝食をとることが可能であり、(1b)はおそらく現時点では朝食をとることが不可能であることを示す。

と、例文をもって明確に、スペインでの用法と中南米での用法を分けて説明されています。


なるほど。
これだと『文法から学べる~』説もPepelú氏説もスパニッシュ・オンラインの講師の説も、上田先生説も説明がつきます。

 

wikipedia余談ですが、このページで面白いのは、都市(マドリッド、サンフアン、サンティアゴ、メキシコシティ)による点過去/現在完了の利用頻度の違いと、16世紀から19世紀にかけての中南米での点過去/現在完了の利用頻度の変遷が表にまとめられているところです。

(右図。Wikipedia掲載の表を画像化)

おそらく、スペイン語がスペインから中南米に伝わり、さらに中南米の中で年月を重ねるとともに地域ごとに使用頻度が変化してきたということでしょう。

 

結論

そろそろ「で、結局どっちなの?」とツッコミがありそうですが。。
学習者としてはどっちでも好きなほうでよいのではないでしょうか(笑)。


同じ状況を表すのに、ある地域では現在完了が使われ、別の地域では点過去が使われているわけで、どっちが正解とか不正解というものでもないように思われます。


Vosotros同様の地域による違いと割り切り、スペイン好きな方は現在完了、ラテンアメリカ好きな方は過去形を使っておけば無難だと思いますが、いかがでしょうか。

(もちろん、この用途に限っての話であり、「3年前に~した」等の文章で現在完了を使うのはやめましょう)