ネイティブの話すスペイン語のスピードに慣れるためのコンテンツや、スペイン語学習に役立つ情報を随時アップしていきます。
ネイティブの話すスペイン語のスピードに慣れるためのコンテンツや、スペイン語学習に役立つ情報を随時アップしていきます。
◎目次
1. スペイン語の「会話力」とは?
2. レッスンを「受ける人」と「使う人」
3. 方法①「事前に会話テーマを決める」
4. 方法②「事前に独り言で練習する」
5. 方法③「事前に使う表現を決めておく」
6. 【まとめ】「会話の幅」と「瞬発性」の鍛え方
¡Hola, todos! こんにちは、のぶしーと(@Nobu_Spanish)です。
今回もスパニッシュ・オンライ ンの一生徒として、記事を寄稿させていただきます。
今回のテーマは、スペイン語レッスンを効果的に使う3つの方法です。
◎この記事を最後まで読むことで、以下のメリットが得られます。
「レッスンを受けているのに、なかなか『会話力』が向上しません。どうしたら良いでしょうか?」
このような質問をよくいただきます。
そもそも、「会話力」とは一体何なのでしょうか?
登録者62万人以上を誇る英語学習系YouTuber「Atsueigo」氏によると、会話力とは「会話の幅」と「瞬発性」という2つの要素で構成される能力です。
「会話の幅」とは、会話で使用できる文法や語彙の広さを指し、「瞬発性」とは、相手の話を理 解し、すぐに反応するスピードのことを意味します。
これをわかりやすくマトリックス図で整理しましたので、下の画像をご覧ください。
画像内の横軸は「会話の幅」を示し、縦軸は「瞬発性」を表しています。画像の中心に十字線 を引き、4つの象限に分けて考えていきましょう。
言うまでもなく、一人一人の語学力をこれほど単純に分類することはできませんが、1つの参 考指標として4つの象限に分けて考えることは有意義だと考えています。
各象限をよりイメージしやすくするために、私なりの定義をつけてみました。
まず、左下の象限には、限られたテーマでしか会話ができず、返答にも時間がかかる学習者 が該当します。
次に、右下の象限には、時間をかければ複雑な文法や語彙を使って文章を作ることができる方が入ります。例えば、準備に時間をかければ、過去形や接続法などの複雑な時制や表現を 使って文章を作ることができるものの、実際の会話になると簡単な表現しか使えない、という方々が右下に当てはまります。
では、左上の象限はどうでしょうか。ここには、自信のあるテーマに限っては素早く受け答えができる方々が入ります。限られたテーマで瞬発性を発揮する一方、馴染みのないテーマでは理解が難しかったり、返答に時間がかかったりする方々です。
最後に、右上の象限には、どのようなテーマであっても適切な表現を使い、自分の考えを流暢に伝えられる方が該当します。おそらく、多くの方が「会話力がある」と考える人物像は、この右上の象限に入るような人ではないでしょうか。
皆さんは、この4つの象限のうち、ご自身がどこに当てはまると思いますか?
謙虚な方は「自分は左下にいる」と思われるかもしれませんが、実際には右下や左上に該当している可能性もあります。
ここでお伝えしたいのは、多くの方が「会話力」をこれほど具体的に分解して考えてはいないという点です。
そのため、「できるかできないか」という二元論的な評価になりがちで、右上の象限にいる人と自分を比べ、「自分はなんてできないんだろう」と落ち込んでしまう方も少なくありません。
しかし、語学力というのは白か黒で割り切れるほど単純なものではなく、もっとグラデーション的に捉えるべきものです。
もし「自分は左下にいる」と自己評価している方がいらっしゃるなら、もう一度、右下や左上に近いのではないかと考えてみてください。
自分の現在地がわかれば、課題も明確になり、効果的な対策を立てやすくなります。
つまり、スペイン語力を効率的に伸ばすための「スタートライン」に立つことができるのです。
レッスンを1年以上受けているにもかかわらず、上達を実感できない方は、レッスンの受け方が効率的ではない可能性があります。
あえて分類するなら、「レッスンを受ける人」と「レッスンを使う人」に分けられます。私は、この両者の間には、レッスン後の効果に大きな差が生じると考えています。
前者は、義務教育の授業のように、先生から言われたことをメモしたり、問題に答えたりと、受け身でレッスンに臨む人です。
一方、後者は、先生の指示を待たず、自らテーマを提案し、積極的に質問を投げかける人を指します。
この話を聞いて、次のように感じる方もいるかもしれません。
「先生を尊敬し、授業をきちんと受けるべきだ。『レッスンを使う』という表現は不適切ではないか」と。
これについて、スペイン語学習者として1,200回以上のレッスンを受けてきた経験と、スペイン語を教える立場から私見を述べさせていただきます。
「レッスンを使う」という意識は、不適切どころか、先生にとって歓迎される姿勢です。なぜな ら、先生は、生徒が何に困っているのか、何を知りたいのかを常に知りたがる生き物だからで す。
生徒が主体的に質問や疑問を投げかけてくれれば、先生はそれを引き出す手間が省け、答えるだけで良いので、非常に楽になります。
その結果、生徒は自分の知りたいことに対する答えを得られ、話す時間も増えるため、満足度も自然と向上します。
一方で、授業を「受ける」姿勢の生徒からは、先生は大きなプレッシャーを感じます。こういった受け身の生徒の中には、「先生が自分のスペイン語力を向上させてくれる」と考えている方が いるからです。
そのような生徒は、先生を品定めします。つまり、自分が上達すれば「良い先生だ」と判断しますが、上達を感じなければ「先生の教え方が悪い」と、責任を押し付けがちです。
そして、多くの場合、先生はその生徒に過度に気を配り、熱心に指導にあたります。一見、良い関係のように見えますが、先生が過保護になるほど、生徒は先生に依存し、自ら学ぶ力が 低下してしまう傾向があります。
実際、私はメキシコのスペイン語学校でこういった生徒をたくさん見てきました。そういった生 徒が卒業の日に口にするのは、「○○先生は素晴らしい。○○先生とは会話できるけど、地元の 人たちとはまだ難しい。もう少し留学期間が長ければよかったのに」という言葉です。
ここまで読んでいただいた皆さんならお分かりかと思いますが、問題は留学期間ではなく、その生徒の学び方にあります。
読者の皆様には、ぜひ「レッスンを使う」という意識を持っていただきたいと思います。
では、どのように「レッスンを使う」べきか、具体的な話をここからしていきましょう。
まず、レッスンの前に必ず会話のテーマを決めておくことが大切です。もし、事前にテーマを決めずにレッスンに臨むと、先生から質問をされ、それに答える形になりがちです。つまり、自然 と受け身の姿勢で授業を受けることになってしまいます。
さらに、「あなたの好きな色は何ですか?」や「あなたの好きな言葉は何ですか?」といった、普段の日常会話ではあまり聞かれない質問に答えることにもなります。
もちろん、そういったテーマが好きな方にとっては問題ありませんが、スペイン語を真剣に学んでいる皆様には、きっともっと話したいテーマがあるはずです。
例えば、フラメンコが好きな方はフラメンコの話、料理が好きな方は料理の話など、何でも構いませんが、事前に会話のテーマを決めてその話をするようにしましょう。
その方が楽しく授業を受けることができるでしょうし、先生も生徒からの提案を嬉しく思うはずです。
また、会話のテーマを自ら提案するということは、自分が会話の主導権を握るということでもあります。そのためには、先生に「私はこれを話したいんだ」と具体的に伝える必要があります。
この話を聞いて、「言いたいことはわかるけれど、私は初心者だからそんな難しいことはできない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
率直に申し上げると、それは言い訳だと思います。なぜなら、事前にテーマを決めて準備することができるからです。
たとえ簡単な語彙や文法しか使えなかったとしても、事前にしっかりと準備さえしておけば、先生に「何を話したいか」を具体的に伝えることができるはずです。
多くの場合、準備すら十分にしていない人が「できません」と言い訳をします。
事前にレッスンで何を話すか決めたら、独り言で練習することをおすすめします。スピーキングの練習方法として、独り言は最強の方法の一つです。なぜなら、場所を問わず、お金もかけず に誰でも実践できるからです。
私の場合、自分の部屋にいる時、シャワーを浴びている時、さらには移動中でも、ぶつぶつと独り言を言いながらスペイン語の練習をしていました。
人前で独り言をするのは恥ずかしいと思いますので、道端でやる必要はありませんが、ぜひ部屋で一人の時などに試してみてください。
具体的な方法をご紹介します。まず、事前に決めたテーマについて、自分が言いたいことを日本語で書いてみましょう。
中級以上の方は、頭の中で考えるだけでも十分ですし、いきなりスペイン語で考えてもOKです。しかし、初心者の方にはそれが難しいこともあるので、まずは日本語で自分が何を伝えた いのか整理しておきましょう。
それをスペイン語に翻訳していけば大丈夫です。この過程で「これってどう言うんだろう?」という単語や表現が出てくるはずです。そうしたら、辞書やインターネットを使って調べましょう。
この段階で完璧主義にならないことが重要です。よく「この表現は自然ですか?」「スペインでも通じますか?」という不安を耳にします。
確かに、辞書やインターネットで調べても、本当にその表現が自然かどうかはわからないこともあります。
しかし、独り言の練習においては、完璧な単語や文法を探し出す必要はありません。できる範囲で調べて、自分の知識の中でスペイン語の独り言をしてみれば良いのです。
走り出してもいないのに転ぶ心配をするのはやめましょう。
独り言の練習をする段階で、話したいテーマに関連する表現は調べていると思います。それだけでもレッスンの効果は高まりますが、もうひと工夫することで、新しい語彙や文法をさらに頭 に定着させることができます。
事前に使いたい語彙や文法を決め、それをレッスン中に積極的に使うのです。
人間は、視覚的な情報や体験と知識を結びつけることで、情報を忘れにくくする能力があります。逆に、単語帳を一度見ただけの単語は、ただの文字情報なので、なかなか記憶に定着し ないのです。
では、どうすれば単語を視覚的な情報や体験と結びつけることができるのでしょうか?それは、実際にレッスンでその単語を使うことが効果的です。
なぜなら、覚えたい単語を使った状況を脳が映像として記憶し、それが体験として刻み込まれるからです。つまり、覚えたい単語や文法があるならば、レッスンで積極的に使うべきなので す。独り言の練習の際に、覚えたい表現をどんどん組み込んでいきましょう。
「でも、レッスン中は余裕がなくて、使おうと思っていた表現を忘れてしまうかもしれない」と心配される方もいらっしゃるでしょう。
その場合は、レッスン中に見える位置にポストイットなどでメモを貼ることをおすすめします。いわば、カンニングペーパーのようなものを作り、レッスン中に参考にすれば良いのです。
カンニングペーパーを作るのは良いですが、それに頼りすぎないようにしましょう。最初からそれを読み上げようとするのではなく、「あの表現、何だったかな?」と思い出すステップを作って ください。
なぜなら、人は「思い出す」という作業を繰り返すことで、脳に「これは重要な情報だ」という信号を送り、結果的に記憶に定着しやすくなるからです。
最後に、今回のまとめとして下の画像をご覧ください。
スペイン語のレッスンを効果的に使うためには、事前に話すテーマを決め、それについて独り言で練習し、覚えたい単語や文法をレッスン中に使うことが大切です。
これを最初のマトリックス図で考えると、よりわかりやすいかもしれません。独り言を行うことで、横軸にあたる「会話の幅」を鍛えることができます。時間の制限なく、使いたい単語や語彙 を調べ、独り言で練習することで、少しずつ右側に移動することができます。
一方で、レッスンを受けることで縦軸の「瞬発性」を鍛えることができます。スペイン語の先生は優しく、皆さんが話すのを気長に待ってくれるかもしれませんが、それでもあまり長い沈黙は 許されないでしょう。ある程度、スピード感を持って会話を進める必要がありますよね。
ましてや、実際の会話の場面では、相手はそれほど長く待ってはくれません。やはり、ある程度の瞬発性は語学学習において重要です。
この瞬発性は、ぜひレッスンの中で磨いていってください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、¡Hasta pronto!