スペイン語力アップ!ブログ

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【前編】初心者からペラペラになるための「音読」のやり方

学習方法 | 2024-10-30
◎目次
  1. 独り言をしない人は毎日「損」をしている
    1. 初心者に「独り言」は難しすぎるのか?
    2. あなたは私よりも「才能」がある
    3. スペイン語学習で時間とお金をムダにする人の特徴
    4. リーディングよりリスニングの方が難しい論理的な理由
    5. なぜスピーキングに力を入れるべきなのか?

 2. 初心者は一つの「型」に絞って練習すべし

    1. 「できないと言う人」は、欲張る
    2. 「できるようになる人」は、絞る
    3. 話せないなら、まず書いてみよ

 3. 考えずにスペイン語を話すための「感情音読」とは?

    1. 語学の達人も音読を重要視していた
    2. 8割の日本人は正しい音読方法を知らない
    3. スペイン語と「情緒」を結びつけろ

¡Hola, todos! こんにちは、のぶしーと(@Nobu_Spanish)です。今回もスパニッシュ・オンラインの一生徒として、記事をお届けします。

今回のテーマは、初心者からペラペラになるための「音読」のやり方です。(本テーマは前後編の二部構成です)

この記事を最後まで読むことで、以下のメリットが得られます。
  • 4技能の中でどこに一番注力すべきかがわかる
  • 効率の悪い学習法が見分けられるようになる
  • 時間とお金をムダにしない学習法がわかる
◎この記事はこんな方におすすめです。
  • 一年以上レッスンを受けているの会話力が上がらない方
  • 初心者だから「独り言」ができないと思っている方
  • 勉強しているのに実になっている気がしない方



1. 独り言をしない人は毎日「損」をしている

a. 初心者に「独り言」は難しすぎるのか?

10月24日にアップした記事では、レッスンを効果的に活用する方法や、独り言の練習がもたらす効果についてご紹介しました。
外国語学習において独り言の練習が有用であることは、すでにご存じの方もいらっしゃったかと思います。

しかし、次のようなお悩みはありませんか?
「そもそも、スペイン語で独り言ができない」
「独り言をしようと思っても、文章が作れない」

確かに、365日を日本語で過ごしている中で、「急にスペイン語で独り言を」と言われても難しいものです。さらに、作った文章が正しいのかどうか、自信が持てないこともあるでしょう。
まずは完璧主義を捨てて、自分の知っている語彙や文法で文章を書いてみることをおすすめします。具体的な学習方法については、後編でご紹介しますが、まずは「できる範囲でやってみる」という心構えを持ちましょう。

もし私が、今からスペイン語をゼロから勉強し直すとしたら、最初の1ヶ月は文法や単語、発音の基本的な知識のインプットに集中します。そして、2ヶ月目以降からは独り言やオンラインレッスンを始めるでしょう。
私はスペイン語の習得に12年もかかってしまいましたが、もしこの方法で勉強し直していたら、遅くとも2年でDELE C2に合格できていたはずです。
ご多忙の中、スペイン語の学習時間を捻出されている皆様には、私のように遠回りすることなく、最短距離でペラペラになっていただきたいと願っております。

b. あなたは私よりも「才能」がある

なぜ、独り言を取り入れることで学習効率を上げられると確信しているのかといえば、以下のように独学で外国語をマスターした方々が皆、口を揃えて独り言の重要性を訴えているからです。
登録者62万人以上を誇る英語学習系YouTuber「Atsueigo」氏
『TOEIC300点から同時通訳者になった僕の英語学習法』の著者であり、Xで2万8千人を超えるフォロワーを有する中村光秀氏
また、私自身もこの学習法を実践することで、DELEのC1とC2に一発合格することができました。

こういったことを書くと、「いやいや、そういう特別な人たちと私は違います。私には外国語を学ぶ才能がないんです」と感じられる方もいるかもしれません。
しかし、それは大きな誤解です。

確かに、「Atsueigo」のAtsu氏は非常に頭の切れる方ですが、高校までは外国語を使う機会が少ない北海道で育ちました。

また、中村光秀氏は彼の著書によると、偏差値35の大学に落ちるほど勉強が苦手だったそうです。

そして私は、偏差値37.5の大学に通い、専攻はスペイン語ではなく歴史でした。外国語大学のような国際的な環境でもなく、上智大学や清泉女子大学のようにスペイン語に特化した学科もない場所です。
スペイン語のレッスンの数や種類も限られており、本気でスペイン語を学ぶ生徒は、大学全体を見ても片手で数えられるほどしかいませんでした。クラスで流暢にスペイン語を話すのは、帰国子女やハーフの学生、もしくはスペインに長期留学した生徒くらいで、私はそのどれにも当てはまらない「アウトサイダー」的な存在でした。

もし皆さんが東京や大阪、名古屋といった大都市で生まれ育ったり、偏差値40以上の大学を卒業していたり、中長期の留学経験があるのであれば、私より語学の「才能」があると言えます。

そうした学習意欲があり、才能にも恵まれた方々が、「スペイン語の初心者だから」と言って、独り言の練習から逃げるのは、正直なところナンセンスだと感じます。

c. スペイン語学習で時間とお金をムダにする人の特徴

なぜここまで独り言をおすすめするのか。それは、効果が実証されているだけでなく、お金をかけずにいつでもどこでも実践できるからです。
つまり、日本にいながら、スペイン語圏の友人がいなくても、お金がなくてもできる効果的な学習法なのです。

これだけ多くのメリットがあるにもかかわらず、8割以上の学習者が独り言を積極的に取り入れていない理由を、私は知っています。
それは、独り言を通して自分の弱点に直面するのが怖いからです。
もしかすると、こう言い換えるとわかりやすいかもしれません。
単語力が不足しているという現実
文法を十分に理解できていないという現実
こうした、目を背けたくなるような現実が、独り言という練習法によって浮き彫りになるのです。その瞬間、恥ずかしさや悔しさがこみ上げてくるかもしれません。そうしたネガティブな体験を、やる前から予測して本能的に独り言を避けてしまっているのです。

しかし、その「痛み」こそが学習を前に進めるための「成長痛」だと、私は考えています。
理想の語学力と現実のギャップに向き合う瞬間は、レベルに関係なく、誰にとっても心がズキズキと痛むものです。
私自身もメキシコから日本に帰国して約2年が経ち、独り言の練習を再開してみたとき、「こんなに話せなくなっているのか…」と自分の力にがっかりしました。

多くの人は、この成長痛を避けるため、リーディングや聞き流しリスニングなど、できるだけ痛みを感じない学習法を選びがちです。そうした学習もやらないよりは効果があるかもしれませんが、毎日独り言を続けている人の成長速度には及びません。
独り言から逃げている自分を棚に上げ、一方で短期間で会話力をグングンと伸ばしている人を見ては、「才能がある人はいいね」とか「若くていいね」などと、さまざまな言い訳を並べます。

独り言を積極的に学習に取り入れる人は、お金と時間を節約しながら上達も早いものです。
一方で、独り言を避けて、自分の弱点に向き合わない人ほど、簡単にペラペラになれると謳う教材や、通うだけでスペイン語力が上がりそうなインスティトゥト・セルバンテスのコースに申し込みがちです。
(セルバンテスのコースが悪いと言っているわけではなく、「通うだけで自動的に上達する」という発想が間違っているとお伝えしたいのです)
こうして語学力が伸びない一方で、お金と時間だけが浪費されていくのです。

この記事を読んでいるあなたは、オンラインで効率よくスペイン語の会話力を伸ばそうとしている方だと思いますので、上記のような落とし穴にははまらないかと思いますが、十分ご注意いただければと思います。

d.リーディングよりリスニングの方が難しい論理的な理由

ご存じの通り、言語は4つのスキル(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)で構成されています。
前半の2つは「インプット」、後半の2つは「アウトプット」とも呼ばれ、特にアウトプットが重要だという話は、一度は聞いたことがあるかと思います。

しかし、なぜアウトプットが重要なのか、またライティングとスピーキングのどちらがより重要なのか、その理由を聞いたことがあるでしょうか。
私は、スピーキングこそが最も重要なスキルであり、スピーキング力を伸ばすことが最も効果的な学習方法であると確信しています。なぜなら、前述の2名もスピーキングを最重要視する学習者であり、その方法を取り入れた私自身も、実際にその効果を体験しているからです。

ここから、もう少し細かく各スキルについて見ていきましょう。
言語の3つの構成要素である文法、単語、発音に対し、リーディングは文法力と単語力のみが求められます。一方、リスニングでは、文法や単語に加えて発音の理解も必要です。
また、リーディングでは文字が目で見えるのに対し、リスニングは目に見えない「音」を理解する必要があるため、リーディングよりも難しいと考えています。
続いて、ライティングとスピーキングを比べてみましょう。どちらもアウトプットのスキルであり、どちらも重要だと考えている学習者は多いようです。
しかし、私は圧倒的にスピーキングの方が重要であり、そこに力を入れる方が学習効率も上がると考えています。

なぜスピーキングが重要なのかと言えば、あなたが作家や編集者でない限り、ライティングは現時点でそれほど重要ではないスキルだからです。
例えば、ビジネスメールもAIや翻訳アプリを活用すれば、初心者でもネイティブレベルの文章を作成することが可能です。こうした時代において、ライティングに注力するのはあまり意味がないと考えます。
また、ライティングにあってスピーキングにないものといえば「スペリング」ですが、これも現時点ではそれほど重要ではありません。ワードで文章を書くときもスペルミスは自動的に修正されますし、実際には非ネイティブよりもネイティブの方がスペルミスが多いと感じるくらいです。それくらい、スペリングは重要ではないということです。
DELEを受験される方の中には、「スペリングも重要だ」とお考えの方もいるでしょう。確かに、筆記試験においてスペリングは重要な要素の一つではありますが、すべての単語のスペルを完璧に覚えていなければならないわけではありません。
実際には、限られたテーマの中で自分が使いたい単語について正確なスペルを知っていることが求められるに過ぎません。

つまり、筆記試験対策として、使える表現のストックを増やし、それらの表現については正確なスペルを覚える必要はありますが、それ以上の重要性はないということです。

e. なぜスピーキングに力を入れるべきなのか?

最後に、スピーキングについて見ていきましょう。スピーキングは文法、単語、発音のすべてのスキルを駆使し、限られた時間の中で自分の気持ちを表現する必要があります。
ライティングの場合、時間制限がないことも多いですが、スピーキングでは瞬発力が求められます。また、会話では相手の言っていることを理解するリスニング力や、それに応じる文法力や単語力も同時に必要です。このように難易度の高いスキルであるため、学習においてはスピーキングに重点を置いた方が、かかる負荷が大きく効果的です。
言い換えれば、独り言やオンラインレッスンを学習の軸にすることで、文法力、単語力、発音、瞬発力を同時に鍛えることができます。
ここまで読んでくださったあなたなら、もうお分かりかと思いますが、この理屈で考えると、次のような学習法を行っている人が「会話力が上がらない」と感じてしまう理由も明確に理解できるでしょう。
  • NHKのラジオを聴いているのに会話力が上がらない
  • 接続法のドリルを何周もしているのに会話力が上がらない
  • セルバンテスの会話コース(グループレッスン)に1年以上通っているのに会話力が上がらない(先生に加え、4〜5名の生徒がいるクラスで、一人あたりどれくらい話す時間があるのか、考えてみてください)
これらの学習法が、独り言やオンラインレッスン(マンツーマン)の学習に比べて効率が劣っていることは明白だと思いませんか?
それにもかかわらず、このような方法を続け、「会話力が上がらない」と嘆く学習者を何人も見てきました。どうか、皆さんはその一人にならないようにしてください。

***

1つの記事内で、初心者からペラペラになるための「音読」のやり方をまとめる予定でしたが、前提条件の説明に意外と紙幅を割いてしまいました。
そこで、前半と後半に分けることにします。後半の記事では、具体的な音読の方法とその効果をご紹介いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。後半の記事の公開を楽しみにお待ちください。¡Hasta pronto!

以上