ネイティブの話すスペイン語のスピードに慣れるためのコンテンツや、スペイン語学習に役立つ情報を随時アップしていきます。
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¡Hola, todos! こんにちは、のぶしーと(@Nobu_Spanish)です。
今回もスパニッシュ・オンラインの一生徒として、記事をお届けします。
今回は、【初心者からペラペラになるための「音読」のやり方】の後編です。
まだ前編を読まれていない方は、先にこちらからご確認いただけますと幸いです。
この記事を最後まで読むことで、以下のメリットが得られます。
◎この記事はこんな方におすすめです。
「スペイン語で独り言ができない」という人に限って、最初から難しいことを言おうとしがちです。日本語で考えたことをそのままスペイン語で言おうとするため、難易度が高いのは当然です。
中級以上の学習者であれば、考えたことをそのままスペイン語で言う練習も良いかもしれませんが、初心者にはあまりおすすめできません。
難しいとわかっているにもかかわらず、初心者がいきなり色々なことを言おうと欲張ってしまう背景には、「早く結果が欲しい」という焦りがあるように感じます。
この焦りは、他の学習テーマでもよく見られます。たとえば、文法学習。「効率よくスペイン語を学ぶために、まずは文法の基礎を固めましょう」と提案すると、多くの初心者は嫌な顔をします。
そして、「文法なんて勉強する必要はない」「◯◯さんは、文法を勉強しなくてもペラペラになった」という「神話」を持ち出し、面倒な学習から逃げようします。
このように、外国語がなかなか上達しない人に限って、少ないリソース(時間やお金など)で実現不可能な高い成果を得ようとする欲張りな気持ちがあるように思います。
ここで皆さんにイメージしていただきたいのが「虫眼鏡」です。子どもの頃、理科の授業で、虫眼鏡を使って光を一点に集めると紙が焦げる実験をしたかもしれません。これこそが「絞る」ことのメリットです。
つまり、リソースをまんべんなく分散するのではなく、1箇所に集中させた方が結果的に効率が良いということです。
これをスピーキングの練習に当てはめてみましょう。最初から多岐にわたるジャンルのことを話そうとするのではなく、まずはどの「型(定型表現)」を使うか決め、その型を起点に独り言をしてみるのです。
例えば、「si+現在形」の型を使って独り言をすると決めたら、その型でどんなことが言えるかを逆算して考えると良いでしょう。
「定型表現をどこで見つければいいですか?」という質問が聞こえてきそうです。その場合は、皆さんがすでにお持ちの文法書や単語帳から、「覚えたい」「使いたい」と思える表現を一つピックアップしてみることをおすすめします。
ここで10個も20個も表現を選んでしまうと後が大変なので、まずは1つだけ、使いたいと思える表現を選ぶことを強く推奨します。
例えば、前述の「si+現在形」を含む表現、「si mañana hace buen tiempo (もし明日晴れたら)」をテキストで見つけたとしましょう。この表現を起点に、何が言えそうか考えてみるイメージです。
「もし明日晴れたら犬を散歩させよう」「もし明日晴れたら洗濯物を外に干そう」など、さまざまなアイデアが湧いてくるかと思います。
覚えたい「型」を起点に、言いたい表現をイメージした後、そのままスペイン語で独り言ができれば理想的ですが、すぐには難しいかもしれません。
そこで、まずはノートに言いたい表現をスペイン語に訳して書いてみることをおすすめします。このとき、スペイン語に訳しやすいように、元の日本語はできるだけシンプルなものが望ましいです。
いきなり話すとなるとハードルが高いですが、時間をかけて文章を作る(書く)のであれば初心者の方でも取り組みやすいと思います。
「そもそもスペイン語で文章が作れない」という声も聞こえてきそうですが、その場合は、スペイン語の基本的な文法や単語の知識が不足しているサインです。もう少しインプットに時間をかける必要があるでしょう。
作った文章が100%正しいスペイン語である必要はありません。むしろ、少し間違っているくらいの方がちょうど良いのです。間違えた部分こそが、学びにつながるからです。
作成した文章をオンラインレッスン中に先生にチェックしてもらうのも良いですが、個人的にはChatGPTなどのツールを使ってAIに添削してもらうのが効果的だと考えています。
なぜなら、オンラインレッスンは通常25分しかないため、その時間を有効に活用するなら、会話にフォーカスするべきだからです。
先生にレッスン中に添削をお願いしたことがある方ならお分かりかと思いますが、添削をお願いするとそれなりに時間がかかります。先生は生徒により良い文章を伝えようと、一生懸命考えてくれるためです。
しかし、前回の記事でお話しした通り、スピーキングに重点を置いた学習の方が効率が良いため、レッスン以外の時間にChatGPTなどの便利なツールで添削をお願いする方が、何倍も生産性が上がると感じています。
上記の手順で一つずつ言いたい表現をストックしていくことで、1ヶ月後には数十個の表現があなたの「戦力(使える表現)」になっているはずです。
使いたい表現のストックができたら、次は音読のステップに移ります。音読とは、その名の通り、文章を声に出して読む練習です。この学習法自体は皆さんご存じかと思いますが、音読の効果は過小評価されているように感じます。
前回の記事で申し上げた通り、「話す」というスキルには、文法力、単語力、発音のすべてが求められます。
一方で、リーディングは文法力と単語力しか求められませんし、リスニングは発音の理解こそ求められますが、自分で発音する必要はないため、やはり「話す」練習が一番負荷が高く、よって効率も高いと考えています。
にもかかわらず、SNSなどで学習報告をされている方々を見ると、文法書を読んだり、ラジオを聞いたり、文法のドリルをやったりと、会話力を向上させるという観点では非効率な学習に時間を費やしている方が多いように感じます。
要するに、会話力を伸ばしたいのであれば、話す練習をした方が効率が良いということです。
とはいえ、毎日スペイン語を話す相手がいない方も多いでしょう。その場合は、独り言や音読をするのが効果的です。それにもかかわらず、独り言や音読の効果は過小評価されがちです。
ちなみに、ギリシア神話「トロイの木馬」の伝説の舞台となったトロイ遺跡を発掘したことで知られる、ドイツ人考古学者のハインリヒ・シュリーマン(1822~1890)も、語学において音読を重要視していた人物の一人です。
シュリーマンは、母語のドイツ語をはじめ、スペイン語やフランス語、ロシア語など18カ国語を操ったとされる偉人です。その語学の達人であるシュリーマンが、語学習得で重要だと強調していたのが以下の5つの事項です。
現在に比べ、語学教材も限られ、テクノロジーも発達していなかった100年以上前の人が、音読と作文を駆使して18か国語を習得したのです。
つまり、私たちがこの恵まれた現代において語学を習得できない理由は、この極めて単純な音読と作文の練習不足にあるのかもしれません。
ここまでお読みいただいた方の中には、すでに音読を実践されている方もいらっしゃるかと思います。
その中で、「すでに音読を実践しているけれど、やっている割に会話力が伸びているとは感じない」と思われた方もいるかもしれません。
率直に申し上げると、そういった方々は音読の仕方が間違っている可能性が高いです。しかし、正しい音読の方法をご存じないのも無理はありません。実際、私も正しい音読の方法を先生から教えてもらったことはありませんでした。
私が様々な学習法を読み漁り、たどり着いた正しい音読の方法は以下の通りです。
上記の3種類の音読を行います。順に内容を見ていきましょう。
和訳音読についてですが、その名の通り日本語訳を音読します。「いやいや、スペイン語を勉強しているのに、なぜ日本語を音読するの?」と思われるかもしれません。
ただ日本語を読むだけではなく、音読している時にその文章が表現する場面や、その時の感情を、映像として見えるくらいに想像しながら読むのです。簡単に言えば、俳優になりきって日本語訳を読む感覚です。
例えば、「¡Qué buena pinta!(美味しそうだね)」という表現を覚えたい場合、「美味しそうだね」という和訳を音読することになります。
その際、おしゃれなレストランでウェイターが運んでくる熱々で出来立ての美味しい料理、その色や香り、盛り付け方まで具体的にイメージしながら「美味しそうだね」と言うのです。
このくらい具体的にイメージする必要があるため、今までに経験したことや日常生活で出会う場面で使う表現の方が覚えやすく、望ましいといえます。
そのため、先ほど申し上げたように、自分が使いたい、または覚えたいと思う表現をピックアップすることが重要なのです。
この和訳音読を30回行ってください。
続いて、感情音読です。和訳音読でイメージした具体的な情景や感情を思い出しながら、スペイン語の文章を読んでいきます。これも各表現ごとに30回ずつ行いましょう。
なぜこんな面倒なことをするのか。それは、スペイン語と情緒を結びつけるためです。もし情緒ではなく、日本語とスペイン語訳を結びつけてしまうとどうなるでしょうか。
例えば、おしゃれなレストランで美味しそうな料理が運ばれてきた時、「美味しそうだな」という日本語を思い浮かべ、それをスペイン語に訳して音にする……という手順を毎回踏んでいたのでは、スムーズな会話は難しくなってしまいます。
かといって、「スペイン語で考えてスペイン語で話す」状態にすぐに到達するのも難しいでしょう。そこで解決策となるのが、この感情音読なのです。つまり、言語情報を日本語と結びつけるのではなく、情緒と結びつけるのです。
先ほどの例で言えば、「美味しそう」という感情や雰囲気と「¡Qué buena pinta!」というスペイン語表現を結びつけるイメージです。
皆さんは、俳優が流暢に英語を話すシーンを見て驚いたことはありませんか?中には、撮影前には英語を話せなかった俳優もいます。彼らが流暢に英語を話す理由は、記憶力が良いからではありません。
前述した感情音読を自然に行っているため、記憶に定着しやすくなり、その結果、カメラの前で外国語をペラペラと話しているのです。
最後に、タイムアタック音読について説明します。前回の記事でもご紹介した同時通訳者の中村光秀氏によれば、タイマーを15分間に設定して感情音読を行うことが効果的だとされています。
もちろん、15分取れれば理想的ですが、少なくとも5分間はタイマーを設定して、この感情音読を毎日行うようにしてみてください。
ちなみに、時間を計る際にはスマートフォンはなるべく使わないようにしてください。私はあえてキッチンタイマーを使っています。なぜなら、スマートフォンでタイマーを設定するとどうしても気が散ってしまうからです。
たとえば、音読をしている最中に電話やLINEの通知が来ると、その瞬間に音読をやめてしまうかもしれませんし、続けたとしても集中力が低下し、音読の効果が減少してしまいます。
そのため、私は意図的に「ローテク(ハイテクの対義語)」のキッチンタイマーを使うようにしています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。ぜひ今日から正しい音読方法を取り入れて、効果的にスペイン語の会話力を伸ばしていってください。
それでは、¡Hasta pronto!
以上